我が家の庭には、今年、蓮華の花がたくさん咲いています。
蓮華の花は、いつの間にかあまり見かけなくなりましたが
以前は、春先の田圃一面を紫に染めていたように記憶しています。
初めてその光景を見た時は、あまりに、どこを見ても紫なので
「なんでどの田んぼも紫の花が咲くんだろう」と思っていました。
時を経て、その紫の花が蓮華という花であり、蓮華が田んぼに満ちている理由を知って
あぁ、なんて見事なんだ、と感動したものです。
後に知ったのは、蓮華はその根っこに根粒菌という細菌を寄生させて
根粒菌を通じて空中の窒素が大切な養分として蓮華に取り込まれること。
根粒菌は蓮華の光合成によって生成された養分を利用することで
両者は共生していること。
そして、窒素を豊富に含んだ蓮華を田圃で育て、田植えの前にすきこむことで
田圃を養分豊かな肥えたものにしている、という営みでした。
互いに生かしあう共生関係。
どちらかがどちらかを利用し尽くすのではなく
どちらも、どちらにとっても必須の存在であるような関係。
必須でありながら、縛り付けるようなものではなく
ただただ、互いに、自然に、そこにいる関係。
このように、多様な存在が、ゆるやかに共生して
世界を創ることの豊かさを思わせてくれる、それが僕にとっての蓮華の花です。
近頃の田んぼに蓮華の花を見かけないのは
化学肥料の使用によって、必要な養分を直接、田んぼの土に加えるからのようです。
そのおかげでの、収量の安定、生産効率の向上など、恩恵は多々あるのでしょうけれど
自然のリズム、関係性と切り離されたところで得られる恩恵には
限界があるようにも思えます。
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