タンポポをよく見かける季節になりました。
タンポポには、小さい頃の思い出がいくつかあります。
あいまいな記憶を辿ると、確か、、、
タンポポの茎は筒状なので、数センチの長さに切り取って
両端にいくつかの切れ目を入れると、くるりと巻き上がるので
それを水車のようにして遊んだような、そうでないような。
そんなあいまいな記憶はさておき、強烈に残っているのは
やはり、タンポポの強さと、綿毛です。
アスファルトのちょっとの隙間からタンポポが歯と茎を伸ばし
花を咲かせている光景は、とても印象に残っています。
このカチンカチンの道路から、こんな細い茎が、どうやったら
出てこれるんだろう、と幼心に思っていたものです。
それから、綿毛。
フーッと吹いて、綿毛を飛ばすのは、誰に習ったわけでもなく
綿毛に導かれるように、自然にしてしまう遊びでした。
タンポポの子孫拡散戦略に絡め取られていたのでしょう。
と、このようなことが、幼い僕の心に残ったタンポポですが
今、あらためて、タンポポ、特にその綿毛を見ると
命の迫力のようなものを感じます。
鮮やかな花を咲かせた後、子孫を残すために
全力を振り絞って綿毛を作り、風に乗せて、時に子供の息の助けも借りて
子孫の生きる場所を、広げていく。
そして、すべての綿毛が飛んだ後は
綿毛が宿っていた半球状の頭をすくっと天に向けて伸ばし
何かをやりきった凛々しさ、あとは滅ぶのみという潔さのようなものを
勝手に感じてしまいます。
自分が親になったせいでしょうか。
祖父母や父を見送ったせいでしょうか。
タンポポの見え方が、幼い頃とはずいぶん変わりました。
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