2022年3月24日木曜日

森の落ちつき。

 森にわけいって、木々に囲まれて風の音や木漏れ日を感じると

なんでこんなに落ち着くんだろう、というくらい心がシーンと鎮まります。

大きな命の中に包み込まれたような感覚です。

海でぷかぷか浮かんでいる時には感じず、森の中で感じます。


森といえば、小学校の頃の秘密基地を思い出します。

最初に基地を作ったのは、家のすぐ近くのススキ林の中。

小学生がその中に分け入って仕舞えば、周りからはもう見えません。

誰にも見えないその場所で、ススキを切って、落ちているゴミを組み合わせて

子供ふたりが入ったらもう鮨詰めになるような小さな秘密基地を作りました。

誰にも見えないところに作った、誰もしらない秘密基地の中で

枯れたススキが立てる音や、土の匂いを感じながら

ボーッとしていたことを思い出します。


子供がススキとゴミで作った基地ですから

何度か雨が降ったら、壊れてしまったんだと思います。

その基地がどうなったか、記憶が途切れていますから

あまり執着がなかったのでしょう。


もう少し大きくなってから、小学校の高学年くらいの時

近所より少し離れた山の中、太い竹がいっぱい生えている場所がありました。

そこにわけいって、小さな斧を使って、勝手に竹を切り倒し(ごめんなさい)

さらに短く切ったり、割ったりして、組みあわせ

以前のものより、もう少し大きな秘密基地を作りました。

子供の手には大掛かりだったので、1日では完成せず、

何日か通いながら作り上げました。

でも、なぜか、ススキ林の秘密基地のような高揚感はありませんでした。

ススキ林の頃より、少しだけ成長して、自分の世界が広くなって

あれこれ知って、興味のアンテナも広くなって、相対的に秘密基地の価値が

落ちていたのかもしれません。

完成したら満足して、すぐに放置してしまいました。

1週間か10日がすぎた頃、あれどうなってるかなぁと、基地を覗きに行ったら

さすがに竹で作っただけあって丈夫で、しっかり残っていました。

まだ、ちゃんとあるんだぁ、と驚き、中に入ったら、さあ大変。

秘密基地の中で、しっぽり落ち着いた空気に包まれることを期待していたのですが

実際は、ものすごい数の蚊に襲われました。

竹で作ったので、そこが蚊にとっての絶好の住処になったのでしょう。

わーっと逃げ出し、もう2度と近づきませんでした。


以来、秘密基地を作ったことはありませんが

秘密基地的なものに対する憧憬は、ずっと続いています。

誰からも見えない、誰も知らない、自分で作った、ひっそりとした空間。

そしてそれは、森に包まれていないといけません。

さわさわと風の音がして、木漏れ日が差してくる森の奥に。








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