2022年6月9日木曜日

その頃、僕はグレムリンに夢中でした。

 確か、僕が中学生の頃、まだ映画を観にいくことに特別感があった頃の話です。

当時、「ゴーストバスターズ」と「グレムリン」という映画が

ほぼ同時期に封切られていたように記憶しています。

テレビの予告CMを見たせいか

書店の雑誌コーナーで立ち読みした時に惹きつけられたのか

僕は、そのどちらの映画も見たくてしょうがありませんでした。


でも、近くの映画館では上映されておらず

電車に乗って、大きな街まで遠出しなければなりませんでしたし

(それはおそらく、内気な僕には大冒険に値するくらい勇気が必要で。。。)

お小遣いも足りていなかったのだと思います。

観たいな、観たいな、と思っているうちに時が過ぎていきました。


実は、その2本の映画をその時に観たのかどうか、記憶が定かではありません。

そんなに観たかったのに、なんではっきり覚えていないかというと

ひとつには、小説版を繰り返し読んで情景が頭に中に描かれたせいであり

ふたつには、その後、ビデオ版で何度も観たせいです。


観たい観たいと思っていた中学生の頃、僕の様子を見た祖父が

ふたつの映画の原作・ノベライズ本を買ってくれました。

僕はその2冊の本を繰り返し繰り返し読み、情景が頭の中に浮かぶくらいになっていました。

その後、どちらかの映画、おそらくゴーストバスターズを、友人たちと観に行ったのですが

その時は、小説を読みながら頭の中に描いていた情景を追体験しているような

感覚だったと思います。


その後、大学に入ってから、レンタルビデオで、どちらの映画も落ち着いて観ました。

それは、はっきり覚えています。

あぁこれが、中学生の頃に観たくて仕方なかったあの映画なんだ、と

しみじみ思い出しながら観た覚えがあります。

本で読んだ通りに、それ以上に、ワクワクし、夢中になれました。

ですから、大学生の時に観た記憶が、中学生の時の記憶と混ざってしまって

ワクワクしたのが、中学生の頃の感覚なのか、それとも大学生の頃のものか

あいまいになってしまっているのです。


後にも先にも、あんなに熱中して映画の原作本を読んだことはありません。

そんなに面白い作品なのか、とあらためて考えると

その後にたくさんの本を読み、映画を観た経験をふまえれば

何が当時の僕をあれほど夢中にさせたのか、うまく思い出せません。


中学生の頃、まだ映画を観るということが特別なことで

観たくて観たくて仕方なかった渇望状態の中で、与えられた本だったからこそ

そこまで夢中になったのではないかと思います。

飢餓状態で手にした食糧が、極上の味わいに思える、というのと近いかもしれません。

中学生の頃の僕の感覚に、ピタリとハマる何かがあったのかもしれませんし。

幸せな出会い方をした映画だったなぁと思い返しています。



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