2022年6月14日火曜日

今日の昼食の味わいを決めたのは。

遠く高くを目指して行われる営みは説得力や求心力を持つのだと
手間暇かけて作られた天ぷらそばを食べながら思いました。

地味でしたが、とても清潔で落ち着いた雰囲気のお店でした。
新聞や雑誌が置いてあって、写真が飾ってあって
片付け前の食器がカウンターに仮置きされていて
という、どこにでもあるような光景が、なぜかとても落ち着いて見えました。

店主は、最小限のことしか話さないような接客でした。
メニューの選択肢はとても少なく、そっけない表記でした。

さほどお客さんがいるわけではありませんでしたが
僕の注文した蕎麦が出てくるまで、ずいぶんと待ちました。
お腹が空いていたはずなのに、待っている時間がちっとも苦痛ではありませんでした。
カウンターの向こうで蕎麦を作っている様子がチラチラ目に入るのですが
店主の調理する姿が、心が鎮まった熟練の職人のように見えました。
その姿を目にして待っていると、心が整ってくるように思えました。

ついに運ばれてきた蕎麦は、見た目も、味も、抜群でした。
手間暇かけて作られた蕎麦を、手間暇かけて(僕はもともと、非常に早食いです)
じっくり味わいながらいただきました。

この蕎麦を作る店主の目指しているところ、心がけているところが
チェーン展開している店では、そう易々と真似できない高みにあることが
すぐにわかりました。

どんな仕事でも、遠く高くを目指して営むこと
それこそが一番大事なんだと、感じさせてくれたお昼のひと時でした。



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