陸上の日本選手権、男子100m決勝を観ていました。
予想通り、サニブラウン選手が優勝でしたが、思ったより僅差でした。
隣の選手が想定よりも前にいたので、少し力が入り過ぎたのでしょうか
好条件の割には記録が伸びていないように思いました。
自分が極めようとする分野で、それを同じように志す仲間、ライバルがいることは
自分ひとりでは引き出せない力を、思いがけず引き出してくれる効用があるようです。
ひとりで黙々とがんばって練習しても、どうしても突破できなかった壁が
仲間と練習することや、試合でライバルに勝つことを目指すことで
ついに突破できる、というエピソードを聞くことがよくあります。
しかし一方で、ライバルに先行されると、必要以上に力が入ってしまい
自分本来のパフォーマンスを発揮することが出来なくなることもあります。
ひとりでなら伸びやかに走れるのに、ライバルと競り合うことで
走りがぎこちなくなって遅くなってしまうこともまた、よくある話です。
ライバルと良い影響を与え合う条件とは、どのようなものなのでしょう。
ひとつ、すぐに思いつくことは、負けることを恐れると
過剰に力が入ってしまい、本来のパフォーマスを失うということです。
ライバルが先行した場面で自分を見失うのは、「負け」の可能性が意識を乱すからでしょう。
すると、勝ち負けを意識するのではなく、
別の何かを意識した方が良いということかもしれません。それはなんでしょう。
それはおそらく、最高のパフォーマンス、境地に達すること、ではないかと考えます。
100mを43歩で走るとして(サニブラウン選手はそのくらいだそうです)
最高の43歩をいかに実現するか、そのための準備の時間をいかに充実させるか
そこに意識を集中して、やれることをすべてやる、それで出た結果は素直に受け入れる。
そのような姿勢を保とうと試みる時にこそ
ライバルと良い影響を与え合えるのではないでしょうか。
ライバルがいてくれることが、最高の境地への感覚をより鋭敏にしてくれる
まだ先があるはずだ、さらなる高みがあるはずだと、思わせてくれることにつながる。
100m決勝より前に行われた1500m決勝で
後ろから抜かれた瞬間、抜き去る相手を横目で見てしまった選手が
そのままズルズルと後退していくのを目にしました。
その時、その選手の脳裏には敗北への恐れが、よぎってしまったのではないかと
素晴らしい真剣勝負を観戦しながら、思いました。
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