2017年11月21日火曜日

即興筋

腕立て伏せを繰り返せば
大胸筋や三角筋が強く太くなるのと
同じように

日頃のコミュニケーションにおいても
繰り返すこと、圧力をかけることで
高められる能力があります。

なかでも
重要であるにもかかわらず
鍛錬される機会が少ないのが
瞬時の判断で言葉や行為を繰り出す
即興能力、いわば即興筋です。

ファシリテーターは
注目を集める場所に身を晒し
その場で生じる言葉、あるいは状況に対して
瞬時に判断し、展開していくことが
求められるので、即興筋は生命線になります。

これを鍛えるためには
ある程度の準備を終えたら
手ぶら丸腰で、場に身を投げ出して
状況を受け止め、即興的に動く経験を
繰り返すしかありません。

というわけで
即興筋を鍛えることは大切です。

なのに
多くの人が、人前に立つ時に
周到に準備して、細心の注意を払って
準備した通り、その再現に
全力を注ごうとしているように見えます。

もしかして
その結果、安定した、綻びのない状況が
生まれるかも知れませんが、それは予定調和です。
準備、想定した通りに
状況を仕立てたに過ぎません。

ですから
ほどほどの安定感、無難な状況しか生まれないでしょう。
エキサイティングな触発も
想定外のヒラメキも生まれにくいはずです。

そして、そのような場を繰り返しながら
私たちは、即興筋を鍛える機会を
失い続けるのです。

機会が失われるだけでなく
即興筋に刺激が入らないのですから
本当の筋肉と同じく、弱体化していくでしょう。

弱り切った即興筋に
急に刺激を入れると
本当の筋肉と同じく、激しく萎縮し
動けなくなります。痛みを伴って。

で、こんなこと、もう、怖くてできない。
と思うようになるかも知れません。


だから
何でもかんでも
しっかり準備して臨んで
無難な結果を積み重ねるのではなしに

日頃から
ちょっとした場面で
手ぶら丸腰で場に身を投げ出し
即興に身を委ねることを
積み重ねていった方がいいと思ってます。

できれば
注目を集める場面で。


というわけで
この10年、僕は、あらゆるスピーチで
原稿を持ったことがありません。

スベったことは
多々あります。

鍛錬ですから。


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