2017年12月9日土曜日

外部への洞察力を



考えて考えて
熟考の末にたどり着いた自分の考え。
もう、これ以上はあり得ないんじゃないか
と思えるくらいの整合性と深さ。

そんな境地に至ったことはありませんが
それでも、考え抜いて出した結論には
自負心や自分との一体感めいた
これは自分そのものだという感覚が宿ります。

で、その通り実行し
もしかしたら、うまくいってしまうかもしれません。
考え抜いたのだから、それなりにうまくいくことも
少なくはないでしょう。

そうやって
自前の考えの成功体験が積み重なり
この考えは正しいのだという
確証が育まれていくでしょう。

大げさにいうと
まるで、自分の考えが
その分野の説明原理になったように
錯覚していくかもしれません。

そのような考えを持ち得た人に
訪れる試練、そして成長の契機は
そのように自負を持った考えと
異なる考えに出会った時です。

いくつもの成功を積み重ねてきたがゆえに
正しさへの確証を深めた自分の考え。
それと異なる考えに出会った時
その人は、どう考えるでしょう。

最も安易で、最も採用されがちなのが
自分の考えの中に、その異なる考えを取り込むために
その考えを持つ相手に、修正を迫ることです。

一見、違って見えるけれど
それは、そのような考え方がの故であって
自分のように考えれば、同じ結論になるはずだ。
したがって、あなたは、考え方を変えなさい。

そのような態度です。

ここでは、自分の考えが正しく
そこには修正の余地はなく
相手の考えこそ、修正されるべきだ
と考えられています。

ここが、この人の
思考力の限界点になるでしょう。
これ以上の深い思考に至ることはなくなり
この人の思考によって捉えられる世界は
これ以上の広がりとしなやかさを獲得しないでしょう。

異なる考えと出会った時
それを成長の契機とするためには
異なるふたつの考えを包摂する
より広い外部を洞察し
自分の考えも、相手の考えも
ともに成り立ちうるような
より深い考えを生み出すことが必要でしょう。

ここには
対立ではなく、共創があります。

互いの違いと一致点を受け止めながら
両立する世界のあり方を構想するのですから。

そして、新たに見出された
より広い世界のあり方のの中に
自らの考えを位置付ける時
それは、しなやかさを増しているでしょう。

単純に、自分は正しいと思っていた次元から
自分は正しいけれども、それは限定的であり
より広い世界の中で、それが正しい場合もありえる
にすぎないという次元に至るからです。

良質な対話によって
互いの思考が深まっていくとは
このような状態を指すのではないかと
考えています。




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